ImaHima in Entre (Japanese) (December 1, 2000)

Posted on Dec 1, 2000 in Article, imaHima

Entre People: 今月の「いま、暇?」

「今どこにいるの?」から始まる新しい携帯Webサービス事業は盛田昭夫に憧れたインド青年の夢

ジャンジさんが、 Web携帯電話コミュニケーションサービスを思いついたのは、昨年夏、彼女にふられて週末がヒマになったから。デートに費やしていた時間が文字どおり「イマヒマ」になってしまったのだ。
「渋谷の街では、女の子たちがみんな携帯電話を使っていますよね。誰もモバイルコンピュータなんか使わない。それを見て、友達どうしが今どこで何をしているのか、連絡を取り合える情報提供サービスのアイデアが浮かびました」 

ベースはインターネット。「imaHima」に登録した仲間たちが今いる場所、行動の内容、時間を簡単に交換できる。たとえば「今、109のエゴイストで買い物中、いっしょに晩ご飯が食べられる子はいない?」ということを入力すれば、登録している仲間たちが確認してメールを送ったり、電話をかけてくる。そのグループ全員の動向がすぐにわかるという便利な機能だ。そのほか、オリジナル機能の「メイト招待状」「名刺交換」などを使って、新しい仲間作りもできる。確かに、携帯を使った頻繁なコミュニケーションが生活の一部となっている若者には、とても喜ばれるサービスかもしれない。

「それだけではありません。ロケーションを絞ったマーケティングに大きな力を発揮します。たとえば、渋谷のピザのお店が、新しいメニューを紹介する。そうすると渋谷界隈に集まっている若者たちを引き寄せることが可能です。先日は、小柳ゆきさんの新しいCD発売に合わせて、ユーザー全員に新曲の着メロを提供しました。その当時のユーザーは8万人。そのうち15%が週末に着メロにアクセスしたんです」

これは相当の効果というべきだろう。ただし、「imaHima」に登録している会員の携帯に何か新しい情報が届いたとしても着信を知らせることはしない。あくまでユーザーの自発的なアクセスが基本である。

「レストランなどの情報を提供するサービスはほかにもあるけれど、うちのサービスは『いまどこにいるか』から始まるところが特徴です。いる場所の近くにある美容院とか映画館の情報が手に入ったら便利ですよね。それをさらに進めて『席が空いているか』までわかるようにしたいんです。すごく空いているときは値引きしてくれるとかね(笑)」

反響は上々で、昨年末に始まったサービスのユーザーが9月上旬に15万人を超えた。この財産を使えば、さまざまなビジネスチャンスが生まれるだろう。現在ビジネスモデル特許も出願中だ。

インドのデリー大学在学中に、英訳された盛田昭夫氏の『メイド・イン・ジャパン』を読んで感動したというインドの青年は、今ジャパニーズ・ドリームの実現を目指す。しばらくはお里帰りもおあずけ。世界から注目される人材大国・インドが生んだ新星の今後に注目したい。

イマヒマ(株)
代表取締役社長
ニラジ・ジャンジ[29]

プロフィール
1971年インド・ニューデリー生まれ。デリー大学で電子工学を学び、シーメンス、ユニシスのインド法人で働いたのち、富士通の奨学生としてハワイ大学 MBAプログラムを受講し、MBA取得。その後アンダーセンコンサルティング(日本)で3ヶ月間研修を受け、終了後そのまま社員として勤務を続ける。現在は独立し、imaHimaに賭ける日々。

取材・文 ● 千葉望